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New PyMOL Window

新しくPyMOLのウィンドウを別に立ち上げることができます。ある構造ファイルを開いている時にまったく別の構造ファイルを開く必要があるときには、このNew PyMOL Windowを使って立ち上げると良いでしょう。一方で類似構造のファイルと比較したいという場合には、新しいPyMOL Windowを開かずに1つのPyMOLウィンドウの中で開くと、構造比較する上で便利です。

Defaultでは新しいPyMOL Windowを開くと同時に、ユーザー独自の初期設定ファイルである.pymolrc(存在する場合)とインストールしたプラグインをともに読み込んでくれます。

ignore .pymolrc and plugins (-k)の方では、この機能を無効にし、PyMOLのインストール時の初期設定のまま利用できるようになります。ターミナルからpymol -kで起動した場合と同じ効果です。

Open...

構造ファイルを読み込むことができます。これを選択すると読み込みたいファイルを選択する画面に移行します。ロード可能な構造ファイルを選択することでInternal GUIのViewer部分に構造が表示されます。

Open Recent...

最近ロードしたことのある構造ファイルの履歴を表示しています。ここから構造ファイルをロードすることも可能です。

Get PDB...

PDBに登録されている構造ファイルや電子密度ファイルのIDを指定することで、インターネットから直接ダウンロードして開くことができます。これはまずこのメニューを選択すると次のような別メニューが開きます。

PDB IDのところにデータベースのIDを入力します。また、下の方にはPDB Structure Optionsが存在し、chain nameの箇所で表示したいChainを指定できます。A chainのみを表示したい場合はAを入力します(指定しない場合はすべて表示されます)。

その構造ファイルに固有のAssemblyを考慮した表示も可能となっています。Biological assemblyを考慮して表示させたい場合は1を、非対称ユニットをロードしたい場合は何も指定しないでおきます。これについては第2章の分子構造のロードのページも参考にしてください。

構造ファイルはworking directory上にダウンロードされます。デフォルトの構造ファイル形式はmmCIFとなっています。working directoryについてはこちらも参照してください。

Save Session & Save Session as...

現在開いている表示状態をセッションファイルに保存します。ショートカットキーはCtrl-SまたはCommand + Sです。スライド作成や論文のために生体分子の表示形式を保存しておくととても便利なので、ぜひこの機能は活用していきましょう。

Save Sessionはいわゆる「上書き保存」と同じで、Save Session as...は「ファイル名を指定して保存」と同じ機能です。一度もセッションファイルを作成していない状態でSave Sessionを押すと自動的に「ファイル名を指定して保存」に切り替わります。

拡張子はPyMOL Session File(.pse)とPyMOL Show File(.psw)の2つを選ぶことができます。pseファイル形式で保存すると、再びこのファイルを開いたときにPyMOLの作業状態をそのまま復元するのに対し、pswファイル形式で保存した場合は、このファイルを開くと全画面表示+Internal GUIとExternal GUIが表示されない状態で開かれます。つまり、pswファイルは編集用というよりは完全に表示用に向いています。

pswファイルを開いたときの例。Internal GUIとExternal GUIが表示されません。

一応、この状態からでも上部メニューの[Display] -> [Internal GUI]と[External GUI] -> [Visible]をクリックすればいつものGUIが表示されるようになるので覚えておくと良いでしょう。

Export molecule...

現在画面上に開いている生体分子オブジェクトをファイルとして出力します。詳細は第2章 構造ファイルのエクスポート を御覧ください。

Export map...

.ccp4などの電子密度マップなどを出力します。電子密度マップについては第5章 結晶構造の電子密度マップを表示するなどで参照してください。マップオブジェクトがロードされた状態で選択すると以下のようなダイアログが現れます。

保存したいマップオブジェクトを選びSaveボタンを押してファイル名を入力することで保存されます。デフォルト拡張子は.ccp4です。

Export alignment...

この機能を利用するためには類似のタンパク質間でのアライメントオブジェクトを生成しておく必要があります。アライメントオブジェクトについては第4章 オブジェクトの重ね合わせを参照してください。

Export Image As...

画像を保存するだけでなく、3Dモデリングへの出力にも対応しています。

PNG...

PNG形式の画像を保存することができます。これについての詳細は第2章の画像の保存を参照してください。

VRML 2...

表示しているモデルをwireframe/VRMLの形式で座標情報をエクスポートすることができます。mesh表示やSurface表示にも対応しています。 タンパク質の3Dプリンタでの出力のときに利用できますが、PyMOLだけでなく他のソフトウェアとの様々な工程を経る必要があるため、詳細はここでは割愛します。

クオリティを上げたい場合は、以下のオプションを利用すると良いそうです。

set surface_quality, 1
set cartoon_sampling, 20

COLLADA...

COLLADAというXMLベースのオープン3Dグラフィック形式で出力することができます。PyMOLのcartoon, stick, line, sphere, surfaceなどのスタンダードな表示形式に対応して出力することができます。PyMOL 1.7.3.2から正式実装されました。拡張子は.daeです。

上記VRML 2の後発ですが、こちらの形式で出力して3Dプリンタ出力やBlenderなどでの編集も行えるようになるかもしれません。PyMOL 2.4からはglTF (GL Transmission Format)という形式でも出力できるようになるそうです。VRML 2のときのクオリティオプションコマンドも利用できます。

POV-Ray...

POV-Rayで読み込めるように拡張子.povで出力します。

Export Movie As...

動画を出力することができます。

MPEG...

Quick time...

PNG Images...

Log File

PyMOLで操作記録を取ることができます。

Open...

Resume...

Append...

Close

Run Script...

Working Directory

作業ディレクトリのパスを変更します。macOSでアプリケーションからPyMOLを起動させた場合、デフォルトの作業ディレクトリ(以降wd)はホームディレクトリ、ターミナルからコマンドでPyMOLを起動させた場合には、そのターミナル上での作業ディレクトリになっています。

Get PDB...を利用する場合など、ファイルの読み込み・書き出しは、この作業ディレクトリのパスを基準に考慮する必要があります。Linuxまたはターミナルの操作に慣れている方にとっては言うまでもない概念でしょう。

PyMOLのコマンドラインからはcdコマンドを使うことで変更することができます。

# Working Directoryをデスクトップに設定する
# (Linux, macOSの場合)
cd ~/Desktop

Edit pymolrc

PyMOLを起動したときに自動的に実行される設定であるpymolrcファイルを編集することができます。bash, zshで言うところの.bashrc, .zshrcと同様に、pymolrcに設定を書き込んでおけば、描画に関する設定やPATH設定などを上書きしておくことができます。macOS, Linuxの場合はpymolrcファイルはホームディレクトリ上に生成されます。

set sphere_scale, .22
set sphere_scale, .13, elem H
set dash_gap, 0
set dash_gap, .15
set dash_length, .05
set dash_round_ends, 0
set dash_radius, .05
set label_size, 18
set cartoon_loop_radius, 0.1
set cartoon_putty_radius, 0.2
set cartoon_oval_length, 0.8
set label_digits, 3
set ray_opaque_background, 0
set dash_length, 0.2500
set cartoon_gap_cutoff, 0

設定はPyMOLコマンド形式で記述する必要があります。

Reinitialize

Reinitializeはその名の通りPyMOLを再初期化してくれます。表示されているオブジェクトを含め再起動したかのようにしてくれるEverythingと、設定値だけを再起動するもののsettings系のどちらかを選ぶことができます。

Everything

Everythingを選ぶと、PyMOLで現在開いているすべての生体分子オブジェクトは消去され、完全にPyMOLを再起動したような状態になります。それまで保存していなかった作業内容も予告内容なしに消えてしまうので、慎重にこのボタンを押してください。

Original Settings

これらのOriginal Settings, Stored Settingsのメニューでは、現在表示されている生体分子オブジェクトは消去されません。こちらで再初期化してくれるのはPyMOLの描画の設定値です。例えばPyMOLのヘリックスの描画の太さ(set cartoon_oval_length, 0.8)やループの太さ(set cartoon_loop_radius, 0.1)、ミッシング領域の描画の有無(set cartoon_gap_cutoff, 0)……などといった、PyMOLの描画全体に影響を及ぼす値を初期値に修正した状態で再び描画し直してくれるのがこのOriginal Settingsです。

上のEdit pymolrcで描画設定を変更していた場合でも、このOriginal Settingsを押すとPyMOL内部の設定値で上書きされてしまうので注意してください。

Stored Settings

保存しておいた描画の設定値を呼び出してくれます。これは下記のStore Current Settingsの機能と対応しています。

Store Current Settings

現在の描画の設定値を保存しておいてくれます。これを一度しておけば、以降PyMOLのプログラムを終了するまで上記のStored Settingsからその設定値を呼び出すことができます。

これらReinitializeについてPyMOLのコマンドラインから行う場合は以下の通りです。

reinitialize [ what [, object ]]

whatにはeverythingまたはsettingsが入ります。settings部分にはsettings, original_settings, stored_settingsが選べるようです。defaultはeverything。 objectにはオブジェクト名を入れることができます。